先日Be Startのお客様に難易度の高い革靴をご依頼されました。
ライトブラウンのケアの際に、豚毛ブラシにクリームを兼用していたせいで別の色が移ってしまったとの事。
ブラシを兼用してしまうとよくあるトラブルです。
この様なトラブルになってしまった場合、直ぐにクリーナーで処置すれば改善する事がほとんどです。
しかし、時間が経過すると色が定着してしまいクリーナーでも落ちにくくなります。
- 薄い色の定着した汚れの落とし方
- 汚れをうまく利用する方法
コンテンツ
ライトブラウンの汚れについて
今回お預かりしたのは、Crockett&Jones(クロケットアンドジョーンズ)*別注品
皆さんは、この様になった靴をケアをする際に洗浄力の強いクリーナーを使う人が多いと思います。
しかし汚れを動かす力はpH値で決まっていてクリームの汚れなどは中性タイプを使用するのが一番です。
また中性は素材のダメージも抑えることも出来ます。
強いクリーナーと言えばレノマットリムーバーですが.。
こちら溶剤系のクリーナーでベンジン類が含まれています。
このベンジンが革の色を落とすため使用すると白っぽくなってしまいます。
まずは水性クリーナーやツーフェイスローションなどを使ってください。
今回依頼を受けた靴は、革を引き締める必要があったので汚れを落とす事も併せて【丸洗い】をしました。
僕は丸洗いをした後の乾燥時間(いつシューキーパーを入れるか)などすごく研究して。
僕の環境で行う場合の最適な時間を調べました。
僕の家では浴室乾燥機を使います。
いかがでしょうか?*補色してます
汚れがある程度目立たなくなってます。
この残ってしまった汚れは全部綺麗に落とすなら家で出来る事は2つ。
- 革を削る
革の表面を削る場合番手は1000〜2000番ぐらいがいいでしょう。
革の表面を削って失敗すると元には戻りません。 - 脱色して調色する
合わせたい色を作り染色します。
これも技術が高く失敗したら染色なので綺麗に落ちなくなる場合があります。
汚れを落とす訳ではないですが誤魔化すという方法も立派な技術です。
今回はこの靴を軸に書きます。
汚れをうまく利用する
落とせない汚れを自分で何とかしようとクリーナーを使って失敗した…。
その結果、銀面は荒れてしまい修復難易度が上がってしまうなんて事もよくある話です。
そこで、僕からの提案として「汚れを利用する」という方法。
まず仕上がりです。
顔料などで着色させてもOKです。
ワックスの場合アンティークのやり方は色々ありますが。
今回は元の色に影響を与えずに汚れを利用してアンティーク調にしました。
今回のやり方
- 下地を無色でしっかり作ります
- ネル生地を巻いて磨きだしをマホガニーで磨きます
後は全体のバランスを見ながら均一に満足いくまで仕上げてください
この場合、なぜ元の色に影響しないかというと。
カラーワックスで下地を作った場合。
その色が定着してしまい完全に落ちない場合があります。
この様な事を避けたい方は無色で下地を作り色を乗せる方法をおすすめします。
汚れ(古いクリーム含)は落とさないといけない物ですが色が定着してしまうと大変です。
ご自身のスキルに合わせて出来そうな事に挑戦してください!
まとめ
この記事で出てきた商品のご紹介
明るい色や薄い色はとにかく汚れが目立ちます。
ある程度「味」と考えて経年変化を楽しむのも良いと僕は思います。
ケアしてなくて汚い靴とケアされていて革に味のある靴は全く別物です。
神経質になりすぎないようにしましょう!
- ブラシの兼用はトラブルの元になるので色分けをして使用してください。
- 色が移った場合直ぐに拭き取りツーフェイスローションなどをご使用ください。
- 丸洗いする場合は靴の中がある程度乾いたら靴に合うシューキーパーを入れて乾燥させます。
*丸洗いはサドルソープを使用しています - 乾燥にはドライヤーなどは絶対に使用しないでください。
では、良い靴磨きを楽しんでください!